ドイツ菓子の王様

ドイツ人は一年中、季節を問わず森を散歩するのが好きだといいます。四季の移り変わりを鮮やかにみせてくれる森は、ドイツ人にとってなくてはならない自然の宝庫。そんな森の国ドイツだから、森にまつわるお菓子がうまれるのも納得です。

バウムクーヘンがドイツ語で「木のお菓子」を意味するのは、焼きあがった層が木の年輪を連想させるからというのが定説です。また一方でその由来にはもうひとつの説があります。それはバウムクーヘンの芯棒に木の棒を使っていたから、という説です。古来、樫の木はドイツでは特別な木であり、ドイツの森のシンボルでした。ドイツで親しまれた木としては、菩提樹のほうが古いのですが、菩提樹が「愛と憧れと優しさのシンボル」だといわれるのに対して、樫の木は「堅牢さ、強さのシンボル」でした。

そんな由来もあってか、バウムクーヘンはまさしく、ドイツ菓子の王様です。ドイツの菓子組合はバウムクーヘンをそのシンボルマークとしていますし、ドイツの菓子職人は立派なバウムクーヘンが上手に焼けてはじめて一人前の職人といわれます。

カール・ユーハイムが日本ではじめてバウムクーヘンを焼き上げたのは90年前の1919年ですが、当時はドイツでもバウムクーヘンの黄金時代で美食家の間で銘菓としてもてはやされました。

その美食家のひとりにビスマルクがあげられます。

19世紀の政治家ビスマルクが美食家であったことは大変有名で今日でも「ビスマルク風にしんの酢漬け」など、ビスマルク風と名のつく料理が伝わっています。

ビスマルクが大変好んだのは、「バウムクーヘン・シュピッツ Baumkuchen Spitz」といわれるもので、小さくカットしてジャムをはさみ、チョコレートをかけたかわいらしいバウムクーヘンです。